クリスマスプレゼント/フィンランド
16 May 2012
フィンランドでは、クリスマス・イヴより前にプレゼントを開けてはならないという暗黙の了解がある。例えば12月中旬に、遠方に住む友人から郵送でクリスマスプレゼントが届いたとしても、中身を確かめるのは24日の夜までお預けとなる。
驚いたことに、クリスマスツリーの飾りつけも通常は24日と決まっていて、23日まではツリーなしで過ごすのが一般的だ。最近は作り物のツリーが増えてきたが、依然として天然の木にこだわる家庭が多いのも、森林王国フィンランドならでは。ツリー用の木を売りにくる移動販売車を利用する人もいれば、自ら林に入って木を切り出してくる人も少なくない。
家の中にツリーを運び入れて飾り付けをすると、ツリーの下にクリスマスプレゼントを並べ、カラフルな包みの山をにんまりと観賞する。だが、プレゼントを開けるまではもう少しの辛抱。まずはサウナに入って体を清め、心身ともにリフレッシュしてイヴの夜に備えるのだ。フィンランドでは、サウナ抜きのクリスマスなどあり得ない。
入浴後、クリスマスディナーでお腹が一杯になったら、いよいよプレゼントの包みに手を伸ばす。肝心の中身だが、日頃から高価なブランド品に親しんでいる日本人の目には、極めて質素に映るかもしれない。子供たちに人気があるのはゲームソフトやおもちゃの類で、日本と何ら変わりはないが、大人同士はチョコレートなどの食品やちょっとした雑貨を贈り合う。この国の人たちは、分不相応なプレゼントには興味を示さない。
最もフィンランドらしいプレゼントといえば、「ろうそく」が筆頭に挙がる。フィンランドは、国民一人当たりのろうそく消費量が世界一で、日常生活には欠かせないアイテムなのだ。実際、北欧の暗くて長い冬には、ほのかで暖かみのあるキャンドルの炎が良く似合う。一見すると地味だが、人々の心にしっかりと明かりを灯すろうそくの光は、フィンランドのクリスマスを象徴しているかのようだ。
